住宅や建物の周りに植えられた木々や庭の景観は、建物の印象を大きく左右します。玄関前の植木や庭の芝生、公園の木々や街路樹など、私たちの身の回りには多くの植物があり、それらを整え、管理しているのが「植木・造園」の仕事です。
造園という言葉は聞いたことがあっても、実際にどのような仕事をしているのか詳しく知らない人も多いかもしれません。造園業は単に木を植えるだけではなく、庭づくりや景観づくり、植物の管理など幅広い仕事を担っています。住宅の庭だけでなく、公園やマンションの植栽、商業施設の緑化など、私たちの生活環境を美しく整える重要な役割を持っています。
このコラムでは、植木・造園の仕事内容や役割、建築業界との関わりなどについて分かりやすく解説していきます。
植木・造園とはどんな仕事か

植木・造園とは、庭や緑地をつくったり、植物を管理したりする仕事のことを指します。
造園という言葉には「庭園をつくる」という意味があり、住宅の庭づくりや植木の剪定(せんてい)、芝生の施工、石や砂利を使った庭のデザインなど、自然を取り入れた空間をつくる仕事が含まれています。
また、造園の仕事は庭づくりだけに限りません。マンションの敷地内の植栽、公園の緑地管理、街路樹の管理、商業施設の植栽など、さまざまな場所の景観づくりに関わっています。
つまり造園業は、建物の外側の環境を整え、自然と建築を調和させる仕事と言えるでしょう。
植木屋と造園業の違い

一般的に「植木屋」という言葉もよく使われますが、植木屋と造園業には少し違いがあります。
植木屋とは主に、庭木の剪定や植木の手入れ、植え替えなどを行う職人を指すことが多い言葉です。個人住宅の庭の手入れを中心に行うことが多く、昔から地域に根付いた仕事として知られています。
一方、造園業は庭づくりの設計や施工、公園整備、外構工事など、より広い範囲の仕事を含む業種です。企業として庭のデザインから施工まで行う場合も多く、公共工事に関わるケースもあります。
とはいえ実際の現場では、植木屋と造園業の仕事の境界はそれほどはっきりしているわけではなく、庭づくりから剪定まで幅広く対応している業者も多く存在します。
造園業の主な仕事内容

造園の仕事は大きく分けるといくつかの種類があります。
まず代表的なのが庭づくりです。住宅の庭を設計し、植木を植えたり芝生を敷いたりして景観を整えていきます。石や砂利、ウッドデッキ、フェンスなどを組み合わせて空間をデザインすることもあります。
次に多いのが植木の剪定です。木はそのままにしておくと枝が伸びすぎてしまったり、形が崩れてしまうことがあります。そのため定期的に枝を整え、木の形をきれいに保つ作業が必要になります。剪定は見た目を整えるだけでなく、木の健康を保つためにも重要な作業です。
さらに植栽工事という仕事もあります。これは建物の周囲や敷地内に木や植物を植える工事のことです。マンションや商業施設、公園などの景観を整えるために行われることが多く、建築工事の最後の段階で行われることもあります。
その他にも芝生の施工や庭石の設置、砂利敷き、外構工事の一部など、造園の仕事は幅広い分野にわたっています。
建築工事との関係

造園の仕事は、建築工事とも深く関わっています。住宅を建てる場合、建物が完成した後に庭や外構を整える工事が行われます。その際に造園業者が入り、植木の植栽や庭づくりを行います。
例えば新築住宅では、玄関周りに植栽を配置したり、庭に芝生を敷いたりすることで家全体の雰囲気が大きく変わります。また、マンションや商業施設でも、建物の周囲に植栽を配置することで景観を整え、利用者にとって快適な環境をつくります。
つまり造園業は、建物そのものを作る仕事ではありませんが、建物の価値や印象を高める重要な役割を担っています。
造園職人に求められる技術
造園の仕事にはさまざまな技術が必要になります。
まず植物に関する知識です。木や植物にはそれぞれ特徴があり、適した土壌や日当たり、水の量などが異なります。植える場所や環境に合わせて適切な植物を選ぶことが重要になります。
また剪定の技術も必要です。枝の切り方一つで木の形や成長が変わるため、経験を積んだ職人の技術が求められます。
さらに庭づくりではデザインの感覚も重要になります。石の配置や植木のバランス、庭全体の見え方などを考えながら空間をつくっていく必要があります。
このように造園の仕事は、植物の知識と職人技術、そしてデザインの感覚が組み合わさった仕事と言えるでしょう。
造園業のやりがい
造園の仕事の魅力は、自分の手で自然を使った空間をつくることができる点です。
完成した庭や公園は長い間人々に利用され、季節ごとに違った景色を見せてくれます。自分が関わった場所が何年も残り続けるという点は、この仕事ならではのやりがいと言えるでしょう。
また植物は成長していくため、時間とともに景観が変化していくのも造園の特徴です。植えたばかりの木が数年後には立派に育ち、庭全体の雰囲気が変わっていく様子を見ることができるのも大きな魅力です。
造園業のこれから
近年、都市部でも緑化の重要性が注目されています。ヒートアイランド対策としての屋上緑化や、建物周囲の植栽計画など、自然を取り入れた環境づくりが求められる場面が増えています。
また住宅においても、庭や植栽を取り入れることで住環境を豊かにする考え方が広がっています。自然を感じられる空間づくりは、暮らしの質を高める要素として注目されています。
そのため造園業は、これからもさまざまな場所で必要とされる仕事と言えるでしょう。
まとめ

植木・造園とは、庭や緑地をつくり、植物を管理しながら景観を整える仕事です。住宅の庭づくりから公園や商業施設の緑化まで、私たちの生活環境を美しく保つ役割を担っています。
木や植物の知識、剪定の技術、庭づくりのデザインなど、さまざまな技術が必要になる職種ですが、その分自然と関わりながら働くことができる魅力的な仕事でもあります。
建築業界には多くの職種がありますが、造園業は建物の外側の環境を整え、建築と自然をつなぐ大切な役割を担っています。私たちが普段何気なく見ている庭や公園の景色の裏側には、造園職人たちの技術と努力があると言えるでしょう。














