建築業界の給与形態 月給と日給のメリット・デメリット

建築業界で働く際、給与形態として「月給制」と「日給制」があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、働き方やライフスタイルによって向き・不向きが変わります。本コラムでは、月給制と日給制の特徴を比較し、どのような人に適しているのかを解説します。

月給制とは?

月給制とは、毎月決まった金額が支払われる給与形態のことを指します。例えば、建築会社の正社員として働く場合、多くのケースで月給制が採用されています。

企業ごとに給与の決定基準は異なりますが、経験やスキル、役職などに応じた基本給が設定されることが一般的です。また、業績に応じて賞与が支給されるケースもあります。

月給制のメリット

月給制の最大の魅力は安定した収入を得られる点にあり、毎月決まった額が支払われることで生活設計がしやすくなる。

また、家計の管理が容易になるため、将来的な貯蓄や投資の計画も立てやすく、住宅ローンやクレジットの審査にも通りやすい。さらに、健康保険や厚生年金、雇用保険などの社会保険に加入できることが多く、将来的な安心感も得られる。企業によっては退職金制度やボーナスが支給される場合もあり、長く働くことで安定した収入を確保しやすい環境が整っている。加えて、祝日や長期休暇があっても給与が減ることはなく、一定の収入が保証されるのも大きなメリットといえる。

さらに、企業内での昇進や昇給の機会があり、キャリアアップの道が開けているため、長期的な視点で仕事を続けるうえで魅力的な給与形態となっている。

  1. 安定した収入
    • 毎月決まった額が支払われるため、生活設計がしやすく、家計管理も容易になります。住宅ローンやクレジットの審査にも通りやすく、貯蓄や投資の計画も立てやすいため、将来の資産形成にも役立ちます。
  2. 社会保険や福利厚生が充実
    • 健康保険や厚生年金、雇用保険に加入できることが多く、将来的な安心感が得られるのが特徴である。さらに、企業によっては退職金制度やボーナスが支給されるため、長く働くことで安定した収入や手厚い福利厚生を受けられる可能性が高い。
  3. 休みの日も給与が発生する
    • 祝日や長期休暇(年末年始、GW、お盆など)があっても収入が減らない。
  4. キャリアアップがしやすい
    • 企業内での昇進や昇給の機会があり、将来的に役職につく可能性が高い。

月給制のデメリット

月給制には安定した収入という利点がある一方で、労働時間が長くなりがちという課題がある。仕事量が増えても給与は一定のため、繁忙期でも収入が変わらず、結果として残業が発生しやすい環境になりやすい。また、実力や成果を上げても給与への反映が遅く、努力がすぐに報われにくい点もデメリットといえる。

特に成果主義ではない職場では、どれだけ良い仕事をしても給与に反映されるまで時間がかかるため、モチベーションの維持が難しくなる場合がある。さらに、景気の影響を受けて業務量が減った場合でも、一定の労働時間を確保する必要があるため、効率的な働き方が難しくなることもある。

これらの点を踏まえると、月給制は安定を求める人には適しているが、成果をすぐに反映させたい人や労働時間に見合った報酬を求める人にとっては、不満を感じることがあるかもしれない。

  1. 労働時間が長くなりがち
    • 仕事量が増えても給与が一定のため、残業が発生しやすく、繁忙期で業務が増えても収入に変化がないことがある。そのため、労働時間の長さに対する報酬の伸びが見えにくく、時期によってはモチベーションの低下につながることもある。
  2. 成果が給与に直結しにくい
    • 実力や成果を出しても、給与への反映が遅く、努力がすぐに報われにくいという課題がある。特に成果主義ではない職場では、どれだけ良い仕事をしても給与に反映されるまで時間がかかることが多く、そのためモチベーションが下がることも少なくない。
  3. 仕事が減っても同じ労働時間が求められる
    • 天候や景気によって仕事が減っても、同じ時間働く必要がある。

日給制とは?

日給制とは、働いた日数に応じて給与が支払われる形態のことです。建築業界では職人やアルバイト、派遣労働者などに多く見られます。特に職人や専門技術を持つ作業員にとっては、自らのスキルや経験に応じて日給を設定しやすく、実力があれば高収入を得ることも可能です。

また、短期間で集中して稼ぎたい人や、柔軟な働き方を求める人にも適している給与形態といえます。

日給制のメリット

  1. 働いた分だけ確実に稼げる
    • 労働時間や日数に応じて収入が決まるため、働けば働くほど収入が増える。特に繁忙期には長時間働くことで高い収入を得ることが可能であり、残業や休日出勤があれば、その分確実に給与が増えるため、短期間でまとまった収入を得たい人に適している。
  2. 自分のスケジュールに合わせて働ける
    • 長期間の休みを取りたい場合、自由に調整しやすく、自分の都合に合わせて働くことができる。また、副業や別の仕事を掛け持ちしやすいため、収入源を分散させたり、スキルアップを図ることも可能である。
  3. スキル次第で高収入が可能
    • 経験や技術がある人は、より高い日給を設定できるため、実力次第で収入を大幅に増やすことが可能である。特に専門技術を持つ職人であれば、その技術力が評価され、月給制の同業者よりも高収入を得ることも十分に可能である。

日給制のデメリット

  1. 収入が不安定になりやすい
    • 天候不良や現場の状況によって仕事が休みになると、その分収入が減るため、計画的に収入を管理する必要がある。
    • 特に祝日や連休が多い月は働ける日数が減るため、収入の減少が顕著になることもある。そのため、安定した生活を送るには、貯蓄や他の収入源の確保が重要となる。
  2. 社会保険や福利厚生がない場合が多い
    • 個人事業主やフリーランス扱いになることが多く、健康保険や年金の負担が自己責任になることが多い。
    • 企業の正社員とは異なり、ボーナスや退職金がないことが一般的。
  3. 長期の休みを取ると収入がゼロに
    • ケガや病気などで働けなくなると収入が途絶えてしまい、生活への影響が大きい。また、休みを取るとその分収入が減るため、長期的な休暇を取得しにくいというデメリットもある。特に安定した収入を求める人にとっては、不測の事態に備えた貯蓄や保険の準備が必要になる。

どちらの給与形態が向いているか?

月給制が向いている人

  • 安定した収入を得たい人
  • 家族がいて、一定の収入が必要な人
  • 福利厚生を重視する人
  • 長く同じ会社で働き、キャリアアップを目指したい人

日給制が向いている人

  • 自分のペースで働きたい人
  • 短期間で多く稼ぎたい人
  • 技術や経験を活かして高収入を目指したい人
  • 副業や自由な働き方を希望する人

まとめ

建築業界において、月給制と日給制にはそれぞれ異なるメリットとデメリットがあります。安定した収入や福利厚生を求めるなら月給制、自由度や高収入を求めるなら日給制が適しています。

どちらを選ぶべきかは、ライフスタイルやキャリアプランによって変わります。自分に合った働き方を見つけることが、長く建築業界で活躍するための鍵となるでしょう。

 

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