職人を目指すなら 大手建築会社か、町の工務店か。それぞれのメリットを考える

「これから職人として働いていきたい」
そう考えたとき、多くの人が最初に悩むのが、どんな会社に就職するべきかという点です。

特に選択肢として挙がりやすいのが、
・大手建築会社
・町の工務店(中小・地域密着型の会社)

この二つです。
どちらが正解という話ではなく、それぞれに良さがあり、向いている人も異なります。

このコラムでは、職人を目指すうえで知っておきたい
大手建築会社と町の工務店、それぞれのメリットを整理しながら、
自分に合った環境を考えるヒントをお伝えします。

大手建築会社に就職するメリット

1. 教育体制やルールが整っている

大手建築会社の大きな強みは、教育や育成の仕組みが整っていることです。
未経験者向けの研修、安全教育、マニュアルなどが用意されているケースが多く、
建設業が初めての人でも、基礎から学びやすい環境があります。

「まずは基本をしっかり身につけたい」
「何をすればいいのか分からない状態が不安」

という方にとっては、安心感のある環境と言えるでしょう。

2. 安定した収入と福利厚生

大手企業では、
・社会保険
・有給休暇
・各種手当

といった制度が整っていることが多く、生活の安定という面では大きなメリットがあります。

毎月の収入が比較的安定しているため、
家族を養う、将来設計を立てるといった点でも安心しやすい環境です。

3. 大規模現場を経験できる

大手建築会社では、
・大型商業施設
・高層マンション
・公共施設

といった、スケールの大きな現場に携われる機会が多くあります。

分業制での作業が中心にはなりますが、
工程管理や安全管理など、現場全体の流れを学べる点は大きな財産になります。

町の工務店に就職するメリット

1. 技術を間近で学びやすい

町の工務店では、少人数で現場を回していることが多く、
親方や先輩職人と距離の近い環境で働けます。

作業をすぐそばで見られるだけでなく、
分からないことをその場で聞き、実際にやらせてもらえる機会も多いのが特徴です。

「手を動かしながら覚えたい」
「見て盗む文化が合っている」

という人には、成長スピードを感じやすい環境と言えます。

2. 幅広い仕事を経験できる

町の工務店では、一人が担当する業務の幅が広くなりがちです。

・下地から仕上げまで
・現場の段取り
・施主や元請とのやり取り

など、職人として必要な力を総合的に身につけやすいのが魅力です。

将来、
・独立を考えている
・多能工を目指したい

という人にとっては、非常に良い経験になります。

3. 現場の達成感を感じやすい

町の工務店では、自分が関わった仕事の成果が見えやすく、
「自分がこの現場をつくった」という実感を持ちやすい傾向があります。

施主と直接顔を合わせる機会もあり、
「ありがとう」と言ってもらえる場面が多いのも、やりがいにつながります。

どちらにも共通して言えること

大手建築会社と町の工務店、
環境や働き方は異なりますが、どちらにも共通して大切なことがあります。

それは、
「どんな職人になりたいか」を自分なりに考えることです。

・安定を重視したいのか
・技術を深く追求したいのか
・将来は独立したいのか
・長く無理なく働きたいのか

この軸がはっきりしていれば、選択を間違えにくくなります。

最初の選択がすべてではない

ここで強く伝えたいのは、
最初に選んだ会社が、職人人生のすべてを決めるわけではないということです。

大手から町の工務店へ移る人もいれば、
町の工務店で技術を磨いた後、大手に転職する人もいます。

環境を変えることで、
自分に合った働き方が見えてくることも少なくありません。

大手と町の工務店、それぞれに向いている人の考え方

ここまで、大手建築会社と町の工務店、それぞれのメリットを見てきましたが、
実際に悩むのは「自分はどちらに向いているのか」という点ではないでしょうか。

これは能力の優劣ではなく、価値観や性格の違いによるところが大きいです。

大手建築会社に向いている人

大手建築会社に向いているのは、次のような考えを持っている人です。

・まずは安定した環境で働きたい
・ルールや手順が明確な方が安心できる
・チームの一員として役割を果たす働き方が合っている
・長期的に同じ会社でキャリアを積みたい

大手では分業が基本になるため、「一つの仕事を深く突き詰めたい」という人にとっては、専門性を磨きやすい環境でもあります。
また、施工管理や現場監督へのキャリアチェンジを視野に入れている場合も、大手の経験が役立つケースは少なくありません。

町の工務店に向いている人

一方、町の工務店が合いやすいのは、こんなタイプの人です。

・現場全体を見ながら仕事を覚えたい
・人との距離が近い環境が好き
・いずれは独立や一人親方を考えている
・多少大変でも、成長を実感したい

町の工務店では、良くも悪くも「自分次第」で任される仕事が増えていきます。
積極的に動けば動くほど、経験値が一気に積み上がる環境です。

未経験から職人を目指す場合の考え方

未経験から建設業に飛び込む場合、
「大手の方が安心なのでは?」と考える方は多いと思います。

確かに、教育体制や安全管理という点では、大手に分があります。
ただし、町の工務店でも、丁寧に育ててくれる会社は数多く存在します。

重要なのは、
会社の規模ではなく、“人を育てる姿勢があるかどうかです。

・未経験者を受け入れた実績があるか
・最初は無理をさせない方針か
・質問しやすい雰囲気があるか

こうした点を面接や見学の中で感じ取ることが、失敗を防ぐポイントになります。

給与・働き方の違いについて

給与面についても、よく比較されるポイントです。

大手建築会社では、
・月給制
・賞与あり
・昇給制度が明確

といったケースが多く、生活設計を立てやすい傾向があります。

一方、町の工務店では、
・日給制や出来高制
・忙しさによって収入が変動
・実力が反映されやすい

といった特徴があります。

どちらが良いかは、
「安定を重視するか」「稼ぐ力を身につけたいか」
という考え方次第です。

将来を見据えた「ステップ」として考える

大手か町の工務店か、という選択は、
最終目的ではなく“通過点”として考えることもできます。

例えば、

・最初は大手で基礎や安全意識を学ぶ
・その後、町の工務店で実践的な技術を身につける

あるいは、

・町の工務店で現場経験を積む
・経験を武器に大手へ転職する

こうしたキャリアの描き方も、決して珍しくありません。

会社選びで後悔しにくくするために

どちらを選ぶにしても、
入社前にできることは意外と多くあります。

・可能であれば現場を見せてもらう
・実際に働いている人の話を聞く
・「1日の流れ」を具体的に質問する

これだけでも、入社後のギャップは大きく減らせます。

自分の「これから」を基準に考える

職人としての道は、短距離走ではなく長距離走です。
だからこそ、今だけでなく数年後、10年後の自分を想像することが大切になります。

・どんな技術を身につけていたいか
・どんな働き方をしていたいか
・どんな生活を送りたいか

その答えに近づけそうな環境を選ぶことが、後悔しない第一歩です。

大手建築会社にも、町の工務店にも、
それぞれにしかない魅力があります。

大切なのは、
「どこが正しいか」ではなく、「自分に合っているか」

焦らず、比べて、納得して選ぶ。
その積み重ねが、職人として長く続けていく力になります。

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