人手不足が叫ばれている建築業界ですが、近年は働き方も改善されている企業も見られ、今後若い世代にも注目される業界になっていく事が期待されています。
そんな建築業界ですが、専門職が多いことから仕事に関わる資格も数多く存在します。
今回は資格を持っておくことのメリットなどを簡単にご紹介します。
資格保持による手当や給与アップが見込める
一部の企業では、特定の資格を保有することにより、資格手当の支払いが行われます。
例えば、施工管理技士のような会社の経営規模評価に貢献する資格は、会社の収益増加に繋がるため、昇給や昇進のポイントとして資格の取得を推奨している企業もあります。
このような状況では、資格を取得することが給与アップに直接繋がるため、取り組みをきっかけに仕事への意欲も高まることが期待されます。
自身が活躍できる場が増える
建設業界においては、特定の資格を有していないと行えない作業が存在します。
例えば、宅地建物取引士や建築士のように、その業務を独占する資格を取得することで、現場でより重要な役割を担うチャンスが増え、それが仕事の満足感、収入アップに繋がる可能性があります。
転職時の選択肢が増える
資格を持つことにより、自分の知識や技能を第三者へ証明できます。
さらに、有資格者は企業にとって価値のある人材と見なされることが多く、採用の際に資格の有無を重視する企業も存在します。
そのため、資格を取得することは自身の市場価値を高め、転職の際にも有利な立場に立てる可能性があります。
取得する資格はどのように選べばよいか?
建設業界での資格取得を検討する際は、関わる専門分野と具体的な仕事内容に注目することが重要です。建設業界は29の業種に分類されており、目的に合わない資格を取得してしまうと、実際の業務に役立たないこともあります。
建設業界への転職を考えているなら、まずは自分の興味を持っている分野や職種をはっきりさせることが大切です。実務で有効な資格を取得するには、事前の情報収集が必要です。
建築士
建築士は、公益財団法人建築技術教育普及センターによって主催される国家資格であり、1級、2級、そして木造建築士の3つの区分が存在します。
この資格を持つことにより、建築物の設計や工事管理の業務が可能となります。例えば、木造建築士は小規模で2階建てまでの木造建築物の建築が行えるようになります。
建築に関する学歴があれば、実務経験がなくても試験を受けることができますが、免許の登録には一定の実務経験が必要になります。
建築施工管理技士
建築施工管理技士は、国土交通省が管理する国家資格です。この資格を取得すると、建築現場における施工計画の立案やスケジュール管理、現場スタッフや監督、顧客との打ち合わせなどの業務を担当することが可能になります。そのため、キャリアの成長を望む方にとって適した資格と言えます。
2級建築施工管理技士の試験を受けるためには、受験時に17歳以上であることが条件です。
しかし、1級の試験を受けるには、特定の学科を卒業し、3年から15年の実務経験が必要であるため、この点には注意が必要です。
建築設備士
建築設備士は、公益財団法人建築技術教育普及センターによって運営される国家資格です。この資格を持つことで、空調、排水、電気などの建築設備に関する専門知識を有していることを証明できます。
受験には、特定の学科を卒業していることと、一定の実務経験が求められます。建築士の上位資格にあたるため、経験が少ない状態で挑む場合は慎重になる必要があります。また、建築設備士として4年以上の実務経験を積めば、1級建築士の試験を受験することが可能です。
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士は、国土交通省により管轄される国家資格の一つです。この資格を取得することにより、電気工事の専門家として、現場の監督や管理を行うことが可能になります。
また、電気工事会社や大手ゼネコンへの就職や転職においても、有利な条件となることが期待できます。
1級の受験には、特定の学科を卒業していることに加えて、一定の実務経験が必要です。一方で、2級の受験資格は17歳以上であれば、誰でも試験を受けることができます。
電気主任技術者
電気主任技術者は、一般財団法人電気技術者試験センターが主催する資格で、第一種、第二種、第三種の3段階に分けられており、取り扱う電圧に応じて異なります。
この資格を持つことで、発電所、変電所、工場などでの電気設備の保守や運用を監督することが可能になります。
電気設備事業者には、電気主任技術者を保安監督者として選任する義務があり、このため転職市場でも高い評価を受ける資格です。
特に受験資格に制限がないため、第三種からスタートし、第一種に向けて段階的に資格を取得していくことが推奨されます。
電気工事士
電気工事士は、一般財団法人電気技術者試験センターが主催する国家資格であり、第一種と第二種に分けられています。第一種資格を取得することで、最大電力500kW未満の電気設備の工事を担当することが可能になります。
受験に特定の資格は必要とされておらず、多くの人が第二種免許の取得から始め、その後第一種免許の取得を目指します。
ただし、試験に合格した後は、電気工事の実務経験を3年から5年間積む必要があるため、この点を考えて置く必要があります。
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士は、全国建設研修センターが主催する国家資格で、この資格を取得することにより、冷暖房設備やダクト配管などの管工事に関わる業務を担うことができます。
施工計画の立案やスケジュール管理など、多岐にわたる業務を担当することが可能です。そのため、転職市場での価値も高まると考えられます。
この資格を受験するには、指定された学科を卒業し、1年から15年以上の実務経験が必要となります。したがって、学歴と資格取得のための勉強の両方が重要であり、計画的な学習が欠かせません。
コンクリート診断士
コンクリート診断士は、公益社団法人日本コンクリート工学会が主催する資格試験です。この資格を取得することで、コンクリート構造物の管理や、RC構造を持つ建物、インフラの補強や補修などの仕事を担当することが可能になります。
この資格の受験には、特定の資格を既に取得していること、もしくは一定の実務経験が求められます。ただし、既に持っている資格によっては、実務経験の要件が免除される場合もあります。
例えば、一級建築士の資格を持っている場合は、実務経験の要件が免除されます。
造園技能士
造園技能士は、各都道府県の職業能力開発協会が実施する国家資格です。この資格を取得すると、一戸建てやマンションの庭造り、公園の緑化整備などの作業に携わることができます。
この資格の試験は1級から3級まであり、それぞれ学科試験と実技試験が設けられています。1級造園技能士の試験を受験するためには、1年から7年の実務経験が必要ですので、受験条件を満たした上での挑戦が求められます。
建築、建設業界への就職を成功させるためのポイント
幅広い情報収集
転職を成功させるためには、情報収集が不可欠です。特に、応募先の企業に関する情報を豊富に得ることで、転職後の期待と現実のミスマッチを防ぐことができ、面接時に採用担当者の質問に対しても効果的に対応することが可能になります。
企業の公式ウェブサイト、転職サイト、さらには業界のニュースサイトなど、多様な情報源を利用することをおすすめします。
自身が希望する条件を明確にする
転職先選びでは、自分が求める条件をはっきりさせることが大切です。
すべての希望条件を満たす企業を見つけるのは難しいかもしれませんが、最優先したいポイントを満たす企業なら、転職後の満足度も高くなります。
給料、仕事内容、キャリアアップの道筋など、転職において何を最も重視するかをリストアップし、それらの条件に優先順位をつけることが効果的です。