建築業界で働く女性が増えています!

建設業と言えば、多くの人が「男性の仕事」というイメージを持っているかもしれません。確かに、これまでの建設業界では男性が大多数を占めていました。

しかし、最近では女性の従業員も増加しています。この変化の背景には、女性の参加を促進するために業界全体で取り組んでいる様々な努力があります。

それでは、建設業界で女性の割合が増えることにはどんな利点があるのでしょうか。また、女性の従業員を増やすためにはどんな施策が取られているのでしょうか。今回は、建設業界における女性の増加、その利点、そしてそのために行われている取り組みについて詳しくご紹介します。

女性が少ない理由

これまで建設業は「3K(きつい・汚い・危険)」の労働環境が問題視されてきました。特に現場での力仕事は、体力差から女性には「働くことが無理だ」と決めつけられることが多かったのです。

このように、3Kの一つである「きつい」は、女性が建設業界で働くことを敬遠する要因の一つとなっていました。また、現場での設備面も課題です。多くの工事現場には女性専用の待機所やトイレ、更衣室などの設備が整っていないため、女性にとって働きにくい環境が現実に存在していました。

さらに、制度面でも多くの課題があります。現場での長時間勤務が常態化しているため、妊娠・出産後の現場復帰が難しく、産休・育休後に就業を継続する仕組みや配置転換などの制度が十分に整っていない点も問題です。

こうした諸問題は女性だけでなく、働く全ての人々に対する環境改善が必要です。そこで、平成27年に国土交通省と日本経団連が提唱した「新3K(給料が良い・休暇が取れる・希望が持てる)」に基づき、改革が進められています。この取り組みによって、建設業界全体の労働環境の改善が図られています。

女性活躍推進のために国も支援に!

前述した女性の労働課題を解決するため、国土交通省と建設5団体(一般社団法人日本建設業連合会、一般社団法人全国建設業協会、一般社団法人全国中小建設業協会、一般社団法人建設産業専門団体連合会、一般社団法人全国建設産業団体連合会)は、2014年8月に「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を発表しました。それ以降、年度ごとに重点アクションプランを策定し、女性の労働環境改善に向けた取り組みを推進しています。

例えば、ソフト面の改善として自主計画の策定、ハード面の改善として女性専用トイレの改築や増設などが挙げられます。この取り組みの結果、一般財団法人建設業振興基金が発表したデータによると、女性技術者は2014年の1.1万人から2018年には1.8万人と約1.64倍に増加しました。

また、女性技能者も2014年の8.7万人から2018年には10.4万人と約1.19倍に増加し、成果が見られるようになっています。

さらに、建設業法の改正に伴い、新・担い手3法やi-Construction、建設キャリアアップシステム(CCUS)、次世代・子育て世代・女性の雇用に力を入れている企業への加点など、建設業界を取り巻く環境は大きく変化しています。

しかし、これらの取り組みをさらに促進するためには、特に女性の就業継続が大きな課題として顕在化しています。そこで、2020年1月に「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」を策定し、「働きがい」と「働きやすさ」の両立を目指して、就業継続を実現するための取り組みを進めています。

建設業で女性の活躍が期待される理由

建設業での女性採用には多くの課題がありますが、なぜ女性採用を前向きに考えている企業や人事、採用担当者が増えているのでしょうか。女性の活躍が期待される主な理由として、次の4つが挙げられます。

1. 建設業界全体の人材不足

近年、特に建設業界では人材不足が深刻な問題となっています。少子高齢化や建設業離れがその一因です。建設業界の仕事は増加傾向にあり、都市再開発やインフラの老朽化、災害復興などの需要が高まっているため、人手不足を補うために女性の採用が積極的に行われています。

2. コミュニケーション能力の高さ

女性が持つ能力や魅力の一つに「コミュニケーション力」が挙げられます。建設業では資材の管理やスケジュールの把握、作業員の進捗管理など多くの情報交換が求められるため、コミュニケーション能力が重視されます。女性ならではの丁寧さや共感力を活かした対応が、クライアント対応や新規クライアントの獲得などで活躍することが期待されます。

3. 繊細さ

女性ならではの繊細さは、建設業の様々な場面で活かされます。例えば、色彩感覚が高いとされる女性は、建設物の配色提案や地域の雰囲気に合わせた配慮が求められる場面で重宝されます。また、住宅やオフィスのような小規模なプロジェクトでは、図面だけでは気づかない繊細な配慮が必要です。

4. 女性視点を活かした提案

男性目線では見落としがちな部分を取りこぼさずに指摘や提案できる人材は、現場で非常に重宝されます。設計やインテリアの配置に関して、女性従業員の意見を反映させることで、実際の使いやすさやセンスを取り入れた施工が可能になります。また、商品開発においても女性視点を取り入れることで、より幅広い層へのアプローチが可能になります。

これらの理由から、建設業界では女性の活躍がますます期待されています。女性の能力や視点を取り入れることで、建設業界は新たな可能性を広げ、より多様性のある職場環境を実現していくことができるでしょう。

建設業で女性を採用する際のポイント

建設業界で女性を採用するメリットは多くありますが、今後は生産年齢人口の減少が見込まれるため、従来以上に間口を広げた採用活動が必要です。ここでは、優秀な女性の人材を採用するために押さえておきたいポイントを紹介します。

1. 女性を採用できる環境を整える

女性の採用がスムーズにいかない最大の原因は、女性にとって働きやすい環境が十分に整っていないことです。女性人材は建設業以外のさまざまな業界でも売り手市場の状態であるため、女性が魅力的に感じる、安心して働ける環境を整えることが必要です。

具体的には、女性専用トイレや更衣室の設置などの環境整備が挙げられます。男女共有の設備は、女性従業員にとっても男性従業員にとっても互いに気を使うことになり、ストレスとなる可能性があります。男性女性どちらの従業員も気持ちよく働ける環境作りを目指しましょう。

2. 各種制度の導入

産休や育休制度などの導入も重要です。女性だけでなく男性の子育てもサポートできる制度を整えることで、夫婦で入社する可能性も高くなります。これにより、働きやすい環境を提供し、優秀な人材を確保することができます。

3. 柔軟な働き方の提案

フレックス勤務やリモートワークなど、柔軟な働き方を提案することも大切です。建設業界では現場勤務が多いですが、設計や管理業務などではリモートワークの導入が可能です。これにより、育児や介護などの事情を抱える女性でも働きやすい環境を提供できます。

4. 企業文化の浸透

設備や制度は導入当初は戸惑うこともありますが、一度浸透すれば企業文化として根付かせることができます。人材確保だけでなく、企業イメージの向上にもつながります。女性が建設業を選びやすくなるような工夫を検討してみてはいかがでしょうか。

5. 教育・研修の充実

女性が安心して働けるよう、教育・研修制度の充実も必要です。特に、建設業界で必要なスキルや知識を学べる機会を提供することで、未経験の女性でも安心して業務に取り組むことができます。また、ハラスメント防止や多様性の尊重に関する研修も行うことで、全従業員が働きやすい職場環境を作ることができます。

これらのポイントを押さえ、女性が働きやすい環境を整えることで、建設業界はより多くの優秀な女性人材を確保できるようになります。女性が安心して働ける職場環境を提供することは、企業の成長と発展に大きく影響するでしょう!

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